GU KENRYOU
cityscape
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本作は顧が「デジタルウィービング」と呼ぶ、複数の写真から1枚のイメージを生み出す手法によって制作された。画像編集ソフト上で、1ピクセル毎に削除と保留を何万回も繰り返し、その素材を重ねることでテキスタイルのようなイメージを生み出している。
京都に生まれ上海で育ち、京都で写真を学んだ顧は、これまで異なる4つの場所を重ね合わせることで実在しない風景を生み出す『Utopia(ユートピア)』というシリーズを制作してきた。顧はあるとき観光で東京スカイツリーに登った際に、展望台が風や音など視覚以外の感覚が断絶されていることに気づく。自分は本当に東京の風景を見ているのか、それとも高鮮明な画面を見ているだけなのか判断がつかなくなるという経験をし、都市における高層ビルの展望台を舞台にした本シリーズの着想を得たという。
本作は地上から218mの六本木ヒルズ森タワーの展望台から4つの方向に向かって撮影した4枚の写真を重ね合わせたものだ。本作の鑑賞者はブラウザを通して大きな1枚の画像、および細部を切り取った100枚の画像を鑑賞することができる。