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STATEMENT

「東京」は1868年、明治元年に「江戸」から改名され、日本の首都となった。それから約150年、震災や戦争、高度経済成長などを経て発展してきた東京は今、2度目のオリンピックを契機として、100年に一度とも呼ばれる大規模な「再」開発の過程にある。
現代の生活は、人工知能やロボティクス、高速通信網をはじめとする情報技術の進歩とともに変化している。スマートフォンや監視カメラ、人工衛星などによって多方向からキャプチャーされる日々の暮らしは、画像データやライフログとともにビッグデータとして蓄積され、個人の行動や社会システムへとフィードバックされていく。同時に、私たちの社会は、少子高齢化や地方の過疎化、経済格差、ジェンダー、外国人労働者の受け入れといった多くの問題に直面し、原発事故による長期的な影響や、地球規模の気候変動による自然災害にもさらされている。
街の風景や都市のインフラ、情報ネットワークが、私たちの感覚を変容させていく。そのような現代において、私たちはこの都市をどのように捉え直すことができるのだろうか?
フォトグラフィック・リサーチとは「写真をどのように扱い、どのように機能させるか、そのための新たな方法を探し出すこと」である*。それはすでに知られているものごとの再生産ではなく、独自の視点とアプローチによって新たなイメージを生み出すための実践だ。 
本プロジェクトでは、現代美術や写真の領域で活動する12組のアーティストがそれぞれの東京を再解釈し、作品を発表していく。TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHとは、「東京」という都市を舞台に生まれた様々な表現から今日の経験を理解し、それに基づく議論や検証によって、多面的な現代性を探求する試みである。

*ダンカン・ウールドリッジ「Photography as Experiment」(『What is Photographic Research?』、Camberwell Press、2016)より

2024/10/18
13:40:14 JST

ENJA