WATANABE YOHEI
Under the Photograph
写真の下
眼下に広がる、植物が横倒しになってできた敷地の毛並み。空いた区画の土壌を抑えるために敷かれた褐色のカバーとそれを抑える灰色の重石。円形の区画状に配列された口紅のような色をした花。黄金色の西日を受けとめるコンクリートの崖。色あせた赤と緑をした入り組んだ屋根と灰色の道路、街路樹。土や植木鉢と共に家の前に並べられたペットボトル…。
渡邉が今回発表するのが、中判カメラによる複数の風景写真とスキャン画像からなる連作「写真の下」だ。カメラ(写真)にとって上下は区別されない。渡邉は本作について、レンズに映る全ての面を「見下ろすことができる」という感覚によって制作したと述べる。遠近法を模した台形の紙とプラスチックのビーズをスキャンした画像が写真の間に挿入されることで、それが強調される。太陽との関係を示すために西日の下撮影された東京の風景は、宇宙で撮られたかのような異化された都市像を提供している。